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内容証明 あんしんマニュアル

このページでは、各種トラブルの予防・解決に役立つ『内容証明』について、
その効力や効果的な使い方、実際の書き方・出し方などを
サンプルや文例を交えながらわかりやすく解説していきます。

はじめての内容証明も、これを読めばひと安心!


1 内容証明とその効力
2 内容証明を利用したほうがよいケース
3 内容証明を利用すべきではないケース
4 内容証明の書き方
5 サンプル・文例
6 内容証明の出し方
7 内容証明を受け取ったら…
8 当事務所へのご依頼・ご相談
 ※現在、内容証明に関する受付を停止しております。




1 内容証明とその効力



内容証明は、正式には『内容証明郵便』と言い、
日本郵政公社が取り扱っている特殊郵便の一種です。

内容証明の最大の効果として、「いつ」「誰が」「誰に」「どのような内容」の手紙を
差し出したかを、郵便局が公的に証明してくれるという点が挙げられます。

もちろん、電話や手紙でも相手にこちらの意思を伝えることはできますが、
電話で要点を的確に説明するのは難しいですし、「言った・言わない」の水掛け論にもなりがちです。
手紙の場合も、相手に「そんな手紙は来ていない」と言われてしまったら、どうしようもありません。

そこで、内容証明の出番となります。
内容証明を出しておけば、相手は「聞いてない」「届いてない」といった言い逃れはできません。
また、こちらの主張(金額や条件)も明確になり、後日話が食い違うといったトラブルも防止できます。
そして、調停や裁判などで争うことになった場合でも、内容証明は強力な証拠なります。

内容証明のもう1つの大きな効果は、相手に心理的プレッシャーを与えられるという点です。

内容証明は書留で配達されるため、中身を読む前からいかにも重要な書類だという印象を与えます。
そして配達員から受け取って中身を見てみると、「法的措置」などなにやら仰々しい内容が!
末尾には、郵便局長名で「内容証明郵便物として差し出されたことを証明します」という文言まで…

まさに青天の霹靂!
内容証明は、相手にとってかなりのプレッシャーとなるはずです。

「なんか厄介なことになりそうだな…」「裁判とかになったらどうしよう」と思わせれば、こちらのもの。
それまで聞く耳すらもたなかった相手が内容証明によって態度を急変させることもありますし、
内容証明1通で問題が解決してしまうことも多いのです。

以上のような効果を持つ内容証明は、直接訴訟を起こして争うのに比べて
安く・手軽に解決することも多いため、各種生活トラブル対策にも広く利用されています。


2 内容証明を利用したほうがよいケース



内容証明は郵便の一種ですから、何を書くかは基本的にまったく自由です。
ただし、以下のようなケースでは、法的な要件を踏まえた上で
確実に内容証明で相手方に通知したほうがよいと思われます。


(1) クーリングオフしたい

クーリングオフ』とは、訪問販売や電話勧誘販売などを受けて販売契約をした後、
日以内であれば消費者側で自由に契約解除できる」という制度です。
消印が期間内であれば有効です。)

対象となるのは、訪問販売や電話勧誘販売をはじめ、割賦・ローン販売、
マルチ商法、内職・モニター商法、海外先物取引、不動産販売などです。

ただし、通信販売や、販売業者の営業所(店舗など)でした契約、3,000円未満の取引で
お金を全額支払った場合などはクーリングオフできませんのでご注意ください。
また、化粧品などの消耗品を使ってしまった場合もクーリングオフできなくなります。

クーリングオフできる期間は原則として日間ですが、
これは、販売業者から「〜日以内は無条件で解約できます」といったことが書かれた
書類を受け取った日から数えて日間となります(受け取った日を1日目と数えます)。
 マルチ商法や内職・モニター商法は20日間など、いくつか例外もあります。

ですから、クーリングオフをするにあたっては、その日付が非常に重要となってきます。
また、クーリングオフする旨も明確に販売業者に伝えなければいけません。

高額商品を強引に売りつけるような悪徳業者の場合、
「そんな手紙は届いていない」「期間を過ぎていた」などと言い出しかねません。

これらの理由により、クーリングオフは内容証明で通知するほうがよいでしょう。


(2) 契約を取り消したい

「クーリングオフ期間を過ぎてしまった」「営業所で契約したのでクーリングオフできない」
といった場合でも、まだあきらめるのは早いです!

クーリングオフは「特定商取引法」という法律に基づく制度ですが、
このほかに、契約全般をカバーした「消費者契約法」という法律があります。

消費者契約法によれば、不当な勧誘による契約は取り消すことができます。
不当な勧誘には、以下のようなものが挙げられています。

・事実と異なる説明をされた
・利益となることばかりを説明され、不利益となることは隠していた
・将来のことについて、断定した説明をされた(例:必ず値上がりします!)
・帰ってほしいと言っているのに、長時間居座って勧誘された

これらに該当するような場合は、消費者契約法による契約取消しが可能です。
取消しできる期間は、ウソなどに気づいたときからか月です。

契約取消しの通知をする場合も、日付と取消しの根拠を明確にした上で、
内容証明で確実に通知するのが好ましいでしょう。

なお、契約書などに「損害賠償には一切応じかねます」などと書かれていても、
そのような消費者に一方的に不利益な特約は無効ですので、ご安心ください。


(3) 債権や売掛金を回収したい

債権回収・売掛金回収の手段としても、内容証明は非常によく利用されています。

対面や電話でいくら請求しても聞く耳持たなかった相手でも、
内容証明を送ることによって、交渉のテーブルについてくることも多い
ようです。

誰だって「差押え・訴訟などの法的措置も辞さない」といった手紙を受け取れば
大なり小なりビビるものですし、実際そういった措置を取られた場合、
普通に支払うよりも時間・お金・労力ともに余計にかかることになるわけですから、
「分割払いならば…」「少し負けてくれればなんとか…」といった心情にもなるものです。

こうなればしめたもので、あとは細かい支払い条件の交渉に入っていきます。
内容証明の心理的圧力を利用したうまい作戦と言えますね。


(4) 時効を中断させたい

債権を回収できない場合でも、何もせずに放っておいてはいけません。
飲食店のツケは年、売掛金なら年、私人間の債権は10年といった具合に
一定期間債権を放っておきますと、時効により消滅してしまうのです。

消滅させないためには、なんらかのアクションを起こさなければいけません。
具体的には、訴訟や差押えなどの裁判手続きをとることによって、時効は中断されます。

また、内容証明で相手方に請求することによっても、時効は一時的に中断します。
ただし、裁判外の請求による中断は一時的なものですので、
請求からか月以内に、正式に裁判手続きをとらなければいけません。

いきなり訴訟や差押えなどの実行するのはなかなか大変ですので、
その場合は、時効が迫ってきたらまずは内容証明を出して時効を中断させておいて、
か月の間に裁判手続きの準備を進めていけばいいわけです。
いよいよ裁判ともなれば、相手方が交渉に応じてくることも期待できます。

請求は内容証明でしなくてもよいのですが、「請求した・してない」の水掛け論にせず、
裁判になった場合の証拠にするためにも、やはり内容証明で請求したほうが確実でしょう。


(5) 債権を譲渡したい

売掛金などの手持ちの債権を、他社への支払いに充てることも可能です。
この場合、法的には「債権を譲渡する」ということになるわけですが、
債権を譲渡するには、「債務者の承認」か「譲渡人から債務者への通知」が必要です。

譲渡人から債務者への通知は、確定日付のある証書によってしなければいけません。
(そうしないと、万が一別の人とその債権について争いになったときに不利になります。)
確定日付のある証書の1つに、内容証明があります。

内容証明であれば、確定日付のほかに債権の内容も明確に証明できますので、
債権譲渡は内容証明によって通知するのが一般的になっています。

譲受人からの通知ではダメなので、債権を譲り受ける場合は、
譲渡人に内容証明を出すように頼むか、自分であらかじめ内容証明を作成しておいて
契約のときに契約書と一緒にハンコを押してもらうのがスムーズでよいでしょう。


(6) 各種トラブル解決のために

そのほかにも、内容証明の証拠力や心理的圧力を期待して、
生活トラブルのあらゆる場面において内容証明が広く利用されています。
主な事例としては、以下のようなものが挙げられます。

●商品売買関係
 代金請求、商品引渡請求、欠陥商品の修理・契約解除・損害賠償請求 など

●借地・借家関係
 賃料の値上げ、家賃滞納者への支払請求、契約解除、敷金返還請求 など

●担保関係
 抵当権・仮登記担保権実行、抵当権消滅請求、競売申立 など

●相殺
 互いに債権を持ち合っているような場合、一方からの通知によって債権の相殺ができます。
 例えばA社に50万円貸しているが、A社の商品100万円のお金も払っていないというときは、
 「ウチが貸した金と相殺して50万円支払う」という内容証明を送って相殺します。

債権放棄
 相手方が破産して債権回収の見込みがないときなどでも、債権を持っていると
 その債権は資産として計上されますので、税務上は損をしてしまいます。
 そこで、債権放棄を通知することによって、放棄した金額を損金に参入できます。

損害賠償・慰謝料請求
 交通事故等による損害賠償請求、示談後の後遺症による損害賠償請求
 離婚・不倫・浮気・セクハラ等における慰謝料請求 など

●団体の脱退
 商品売買における契約解除のほかに、団体などを脱退・退会したときにも
 内容証明で脱退意思を通知しておいたほうがよい場合があります。
 例えば会費を引き続き請求されたときなどには、内容証明が証拠として活きてきます。


(7) こんな使い方も有効!

(1)〜(6)でご覧いただいたようなケースが内容証明を用いる代表的な例ですが、
そのほかにも、こんな使い方も考えられます。

●相手の反応や出方を見る
 内容証明を送ると、かなりの確率で相手方からなんらかのアプローチがあります。
 内容証明は裁判所の命令ではないので強制力はないのですが、
 それでも心理的に、「何か反論しなければ!」という気持ちになるものです。

 相手の出方がわかった上で作戦を立てるのとそうでないのは大きく違ってきますから、
 こういったボクシングでの「ジャブ」的な使い方も有効と言えます。 

●証拠づくりに
 内容証明を送るとなんらかの反応があると述べましたが、
 内容証明を送ると、相手の返事や反論も内容証明で来ることが多いのです。
 
 内容証明はその後の重要な証拠となりえますので、
 相手方に内容証明を書かせて、それを証拠にしてしまうのも有効な作戦です。

 例えば、貸金の請求をして、相手方が「必ず払いますから」などと返答してきたら、
 それは「債務の承認」ということで、時効の中断の要因となります。

 時効の中断については(4)で書いたとおりですが、相手方が債務を承認してくれれば、
 裁判手続きナシでも時効が中断することになりますので、まさにしめたものです。

 また、「保証人の実印をもらったけど、勝手に押されたものかもしれない」といった
 危惧がある場合、保証人に保証の有無を返答してもらえれば、確実な証拠となります。


3 内容証明を利用すべきではないケース



生活トラブルの予防・解決に幅広く利用されている内容証明ですが、
以下のようなケースでは、内容証明を用いるべきではないと言えます。


(1) 相手方とその後も親しくつきあわなければならないとき

相手方が親兄弟などの肉親や、お隣、ご近所、会社の上司や同僚といったような、
日々の生活でつきあわざるをえない相手だった場合は、
内容証明を送るかどうか、よく考える必要があります。

誰だって、たとえ完全に自分に非があったとしても、
内容証明のような強い調子の手紙をもらえば、気分がいいものではありません。

その後も友好関係を保ちたいような相手には、いきなり内容証明を送るのではなく、
まずは話し合い、それでもダメなら友人・知人に第三者に間に入ってもらうなど、
できるだけ穏便に解決するようにしたいものです。

時効の中断や脱会などのため、やむをえず内容証明を送るような場合には、
あらかじめ相手にその旨を伝え、文体も丁寧なものにするとよいでしょう。


(2) 相手方が誠意を見せているとき

すでに期限はすぎているけど相手方が少しずつ返済をしてきているときや、
友好的に話し合おうとしているときなどには、内容証明を送ることによって
かえって相手の態度を硬化させ、争いが泥沼化してしまう可能性があります。

裁判・調停などで争ってまで支払ってもらうとなると、
結果的にこちらも多大な時間・お金・労力を消費することになりかねません。
また、その場合でも全額回収できるかどうかはわかりません。

ですから、相手方に誠意があるときは、内容証明は用いずに
少しずつでも確実に支払ってもらったほうがよいでしょう。


(3) 相手方が倒産・破産しそうなとき

このような相手は、支払いたくても支払えない状況なわけですから、
内容証明を送っても徒労に終わるケースがほとんどです。 

相手方に何か財産があるのならば、一刻も早く差押えをするなどして、
財産の処分や持ち逃げ(夜逃げ)ができないようにするべきでしょう。


(4) こちらにも弱みがあるとき

内容証明は証拠になると述べてきましたが、それは相手方にとっても同じことです。
例えば、すでに時効になっている貸金を請求する場合や、
こちらも落ち度があるのに相手方に要求をする場合などは要注意!

こういった場合に自分の弱みまで書くと、それが相手方の証拠になってしまいます。
こちらに弱みがあるときは、より慎重に対応を検討しなければいけません。


4 内容証明の書き方



内容証明を利用したほうがよいケース・利用すべきではないケースを検討した後、
やはり内容証明でアプローチしてみようという場合は、いよいよ作成にとりかかります。

内容証明を書くにあたっては、いくつかの決まりごとがあります。
以下、内容証明の書き方・作り方を簡単にまとめてみましたので、
ご自身で作成される場合は、下記の要領でご作成ください。

なお、次のにはサンプル・文例を掲載してありますので、
そちらもあわせてご参照ください。


(1) 用紙・筆記用具

内容証明はどんな用紙に書いてもOKです。
原稿用紙や便せんのほか、普通の白い紙やわら半紙などでもかまいません。

筆記用具にも特に制限はありません。
手書きの場合は万年筆かボールペンが一般的で、鉛筆は避けたほうがよいでしょう。
ワープロで書いていただいてもかまいません。

弁護士や行政書士などの専門家が作成するときは、より威圧感を増すために
内容証明専用の赤枠の原稿用紙を使う方も多いようです。
(こちらは文房具店等で市販されているので、一般の方でも入手可能です。)


(2) 同じものを3通作る

内容証明は通常の手紙と異なり、同文のものを通作成しなければいけません。
「相手に差し出すもの」「郵便局の保管用」「ご自身の控え」で計3通となります。

手書きで同文のものを3通書いてもいいですし、カーボンやコピーの使用も可能です。
ワープロで作成する場合は、普通に3部印刷すればいいですね。


(3) 書式(文字数・行数)

縦書き・横書きどちらで書いてもOKです。
手書きの場合は原稿用紙に縦書き、ワープロは横書きという方が多いようです。

ただし、1枚に書ける文字数は決まっています。
(郵便局で出すとき、係の方がきっちり文字数を数えます。)

基本的に「1行20文字以内×1枚に26行以内」とされてますが、
横書きの場合は「26字×20行」か「13字×40行」でもかまいません。

句読点やカッコなども1文字として数えます。
ワープロで作成される方は、書式設定を1行20字とすると
行の最後に句読点が来たとき1文字はみ出しますのでご注意ください。

その場合、内容証明では通常の作文と異なり、
その句読点は次の行の最初の1文字目に入れなければいけません。


(4) 使用できる文字

漢字・かな・カナ・数字が使用できます。
英字は、固有名詞(相手の名前や商品名など)にのみ使用可能です。
また、カッコや句読点、一般的な記号(+・%・mなど)も使えます。

カッコや句読点・記号も当然1文字として数えられます。
ただ、カッコは2つあわせて1字とし、上のカッコがある行の文字数に換算されます。


(5) タイトルや時候のあいさつは入れるべきか

内容証明はあくまで手紙の一種ですので、タイトルをつけるかどうか、
そして本文に何を書くかはまったくの自由です。

まずはどういった要求をするのか考えて、本文に合ったタイトルをつけるとよいでしょう。
例えば貸したお金を返してほしいなら「貸金請求書」、
団体を脱退したいときなどは「退会届」といった具合になります。

「通知書」「通告書」「請求書」といったタイトルは広い目的で使えますので、
特定のタイトルが思い浮かばない場合などによく使われています。
相手からの内容証明への回答などには、「回答書」というタイトルも使われます。

「拝啓 新春の候〜」「敬具」といった時候のあいさつは、私は通常は書きません。
ただ、相手との関係などから手紙の印象をやわらかくするために入れることもあります。


(6) 訂正方法

うっかり書き間違った場合は、訂正方法が郵便約款で決められています。

まず、書き間違った部分を二重線で消し、そこに正しい文字を書き加えます。
訂正したら、その欄外または文末余白に「○行目○字削除、○字加入」などと書きます。

(例:「りんご」を「アップル」に書き換える場合は、「3字削除、4字加入」となります。)

そして、「○行目○字削除、○字加入」の近くに、差出人のハンコを押します。
(ハンコは、差出人欄に押すものと同じハンコを使用します。)

ワープロで作成する場合は普通に画面上で訂正して印刷しなおせばいいのですが、
印刷した後に訂正するときは、上記の方法でも訂正することができます。


(7) 年月日・差出人・受取人

内容証明には、必ず年月日と差出人・受取人を記載しなければいけません。
差出人・受取人は名前だけではなく、住所まで書く必要があります。

縦書きの場合は、通常は本文の後に
「年月日」「差出人の住所・氏名・ハンコ」「受取人の住所・氏名」の順で書きます。
一方、横書きの場合は、本文の前に「年月日」「受取人」「差出人」の順で書くことが多いです。

差出人欄のハンコは、訂正印に用いたものと同じものを名前の後ろに押します。


(8) 2枚以上になったら?

内容証明はどんなに長文になってもかまいませんが、
用紙が2枚以上になった場合、ホッチキスやのりでつづり、
1枚ずつめくってそのつなぎ目に契印(割印)を押さなければいけません。

このハンコも、訂正欄や差出人欄に使ったものと同じハンコを押してください。


(9) 資料を同封できるか

内容証明には、手紙以外の資料を添付することはできません

条件や数値などの必要事項は本文中にわかりやすく記すか、
どうしても送りたい資料があるときは、内容証明とは別に郵送してください。
その場合は、本文中に「〜〜書のコピーを別送しました」などと書くとよいでしょう。


(10) 封筒の書き方

封筒に関しても、どんな封筒を使ってもかまいません

書き方は、通常の郵便と同様、表に受取人の住所氏名、裏に差出人の住所氏名を書きます。
ただし、その住所氏名は内容証明の本文と同じ記述にしなければなりません。

本文を書き上げ、封筒も書き終われば、ついに完成です!
封筒には封をしないまま、手紙3通と一緒に郵便局へ持って行きます。


5 サンプル・文例



上記の要点を踏まえて、内容証明のサンプル・文例を2つほど作ってみました。
比較的ご相談の多い、貸金回収と契約解除(クーリングオフ)についての内容証明です。

有効な内容証明とするコツは、
「こちらの要求を簡潔にわかりやすくまとめる」ことと、
「要求の根拠や法的な規定を明らかにする」ことです。
ご自身で作成されるときは、このことを心がけてチャレンジしてみてください。

 ▼貸金回収のための内容証明
                平成29年1月1日
 東京都○区△町1丁目2番3号
 (受取人)殿
        埼玉県○市△町3丁目2番1号
                  (差出人) 

           貸金請求書

  私は、貴殿に対し、平成○○年○月○日、
 金100万円を、利息年1割、弁済期を平成
 18年12月31日としてお貸ししました。
 しかし弁済期をすぎておりますが、いまだに
 返済していただいておりません。
  つきましては、本書到達後10日以内に、
 金100万円およびこれに対する平成○○年
 ○月○日から完済まで年1割の割合による利
 息をお支払いいただきますよう、本書をもっ
 てご請求申し上げます。
  上記期間内にお支払いなき場合は、訴訟・
 強制執行等の法的手段をとらせていただきま
 すことを念のため申し添えます。

 ▼契約解除(クーリングオフ)のための内容証明
                 平成29年1月1日
 東京都○区△町1丁目2番3号
 ××株式会社
 代表取締役 (受取人)殿
         埼玉県○市△町3丁目2番1号
                   (差出人) 

          解約通知書

  私は、平成○○年○月○日、私方に来られ
 た貴社のセールスマン鈴木太郎氏を通じ、以
 下の購入契約をいたしましたが、本書をもっ
 てこの契約を解除いたします。

              記
  商品 〜〜〜〜〜 ○個
  価格 ○○○○○円

  つきましては、当方に引渡し済みの商品は
 すみやかにお引き取りいただくとともに、既
 に支払い済みの金△△△△円は、早急に返
 還くださいますよう、ご請求申し上げます。


6 内容証明の出し方



続きまして、完成した内容証明の出し方について解説します。

内容証明が書きあがりましたら、いよいよ発送です。
文字数・本文の中身・契印の有無などをもう一度よく確かめて、
封筒には封をしないまま郵便局へ持って行きます。


(1) 取扱郵便局

内容証明は、すべての郵便局から出せるわけではありません。
取り扱っているのは、集配局と、地方郵便局長が指定した郵便局のみとなります。

集配局というのは郵便物の集配をする比較的大きな郵便局のことで、
お住まいの地域の大きな郵便局ならば、おそらく取り扱っていると思います。
念のため事前に行って聞いてみるか、電話で問い合わせておくとよいでしょう。
郵便局のホームページからも確認可能です。)


(2) 郵便局に持っていくもの

郵便局にお出かけになる際は、以下のものをご持参ください。

・内容証明郵便で出す手紙 通(同文のもの)
・封筒 通(受取人・差出人の氏名住所は本文中と同じ記述に)
・印鑑(差出人印・訂正印と同じ印鑑)
・郵便料金(通常1,279円です。詳細は後述します)

印鑑は書面に不備がなければ使いませんが、文字数オーバーや契印の押し忘れなどを
郵便局の係員に指摘された場合、印鑑があればその場で訂正もできますので、
念のため持参されたほうがよろしいかと思います。

また、実際に郵便局に行くのは本人でなくてもかまいません。
誰かにお使いを頼むときも、上記のものを持って行ってもらいます。


(3) 郵便局に着いたら(郵便局での手続き)

窓口で手紙3通と封筒を差し出し、「内容証明郵便をお願いします」と申請します。
その際、「配達証明つきでお願いします」ともおっしゃってください。

配達証明』というのは、郵便局が配達した日時と、配達した事実を証明してくれるものです。
内容証明で証明されるのは、いつ、誰が、誰に、どんな手紙を出したかという点ですから、
配達証明がないと、相手方に「届いていない」という弁解の余地を残してしまいます。

以上のように、内容証明と配達証明を申し込みますと、郵便局員が手紙と封筒を確認します。
文字数や訂正印・契印の有無などが、内容証明の規則に従っているかをチェックするのです。

特に問題がないようでしたら、郵便局員が手紙の末尾に
「この郵便物は平成○年△月□日内容証明郵便物として差し出したことを証明します」
という旨の記載を、3通すべてに郵便局長名でしてくれます。

そして3通のうち1通はそのまま郵便局が保管し、1通は控えとして渡してくれます。
残りの1通は、郵便局員が立ち会いのもとで封筒に入れて封をします。
これが受取人に郵送されることになります。

封筒と引き換えに、郵便局員から『書留郵便物受領証』を受け取ります。
「書留郵便物受領証」には日時・差出人・受取人などが記されていますので、
必ず持ち帰って大切に保管してください。

この受領証があれば、万が一手元の控えを紛失した場合などでも、
郵便局に保管してあるものを閲覧することができますし、
もう一度同じ手紙を作れば再度内容証明をしてもらうこともできます。

受領証をもらって、所定の料金を支払えば、内容証明の手続きは終了となります。


(4) 料金

郵便局には、以下の料金を支払います。

内容証明料 440
書留料    435
郵便料金   84円(通常の手紙を出すときの料金。たいていは82円で足ります)
配達証明料 320

以上で、合計1,279というのが一般的なケースです。

手紙が2枚以上になるときは、1枚につき260円の内容証明料が加算されます。
また、速達で出すときは、通常の速達と同様に290円が加算されます。


(5) 内容証明が相手に届かないとき

せっかく内容証明を出したのに、届かずに戻ってくることがあります。
2 内容証明を利用したほうがよいケース」で挙げた、契約解除、時効の中断、
債権譲渡、団体の脱退などは特に、こちらの意思表示が相手に届かないと困りますね。

届かずに戻ってきてしまうケースは、何パターンか考えられます。
以下、ケース別に対応を考えてみましょう。

●相手が不在のとき
 内容証明は書留郵便ですので、相手方はハンコを押してから手紙を受領します。
 よって、相手が留守等のときは、相手方には「1週間以内に取りに来てください」
 との不在票のみが届けられることになります。

 相手が期間内に取りに行ってくれれば問題ないのですが、
 取りに行かなかった場合は、その手紙はこちらに戻ってきてしまいます。
 この場合は、手紙は法的に到達したことにはなりませんのでご注意ください。

 ではどうするかといいますと、不在ということは、一応相手方はその住所に
 住んでいるということですので、通常郵便でコピーを送るという手も考えられます。
 通常郵便は不在でもポストに入れられますので、戻ってくるということはありません。
 相手方も、封も開けずに捨てるということはあまりしないでしょう。

 また、電話番号などの連絡先がわかるようでしたら、直接会って渡す手もあります。
 いずれにしても、正規の郵送でなくても、仰々しい内容証明の文面を見れば
 相手方は一定の心理的プレッシャーを感じるはずです。
 せっかく書いたのですから、戻ってきたまま放置するのは避けたいところです。

●受取りを拒否されたとき
 相手方が差出人名を見て、受取りを拒否する場合があります。
 その場合は、手紙には「受取り拒否」と書かれて戻ってきてしまいます。

 しかし、受取り拒否の場合は、法的には手紙は到達したことになります
 契約解除等の通知の法的な効果は生じますのでご安心ください。

 また、相手方本人ではなく家族などが応対した場合、家族に受取りを拒否されたとしても
 本人が拒否したのと同様の効果が生じることとなります。

●相手の居所や転居先が不明のとき
 相手が夜逃げしてしまった場合などは、当然行き先はわかりませんから、
 内容証明は差出人の元に戻ってきてしまうことになります。
 
 こうなってしまったらなかなか厳しいですが、それでも債権譲渡や相殺など、
 どうしてもこちらの意思を相手に通知しないといけないこともあります。

 こんなときは、裁判所に申し立てて『公示送達』という手続きをとります。
 公示送達は、居所不明の相手方に対して、送達すべき書類を保管している旨を
 裁判所が官報や役場の掲示板などに掲載してくれます。
 そして掲載後、2週間が過ぎても相手方の反応がないときは、
 たとえ相手方がそれを見ていなくても、手紙は相手方に到達したことになります。

 公示送達を申し立てたい場合は、相手方の最後の住所の簡易裁判所に申し立てます。


7 内容証明を受け取ったら…



このページをご覧になっている方には、これから内容証明を書こうという方だけでなく、
「内容証明が来ちゃったんだけど…」という方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、本章では内容証明が来たときの対応について考えてみたいと思います。


(1) 内容証明を受け取るべきか

ある日突然内容証明がやってきたら、誰だっていい気分ではないですよね。
ましてや差出人が何かで争っている相手だったりしたら、受取りを拒否したくなります。

しかし、受取りの拒否はあまり得策ではありません。
上記の「6 内容証明の出し方」の(5)でご説明したとおり、
受取り拒否したとしても、法的にはこちらに到達したことになってしまうからです。

内容証明には心理的な圧力はあっても強制力はありませんから、
受取り拒否したりせず、とりあえず受け取っておいて問題ありません。
まずは落ち着いて中身を熟読し、その後の対応を検討しましょう。


(2) こちらに非がある場合

届いた内容証明をよくよく読んでみると、明らかにこちらに非がある場合もあります。
「借りたお金を期限が過ぎても返していない」「家賃を払い忘れた」などなど、
ついうっかり忘れていたなんてこともありえます。

こういった場合、一刻も早く相手方に謝罪の意思を伝えることが重要です。
借りた金額が違うなどの間違いがない限りは、手紙で返事をなどと言わず、
すぐにでも直接会うか、電話で謝罪するべきでしょう。
そして、できるだけ早急にその約束を実行します。

こういった場合、おそらく相手からの内容証明の中で
お金を返していないなら全額一括返済や遅延損害が求められているでしょうし、
家賃滞納なら滞納を理由に契約解除するとまで書かれていることもあるでしょう。

状況により、すべて相手の要求どおりになるわけではないでしょうが、
こちらに非があるわけですから、争いになったら不利であるのは間違いありません。

ですから、一刻も早く相手に謝罪し、すぐに約束を実行しなければいけません。
すぐに実行できないときも、心から謝罪の意思を伝え、正直に事情を話すべきでしょう。

こちらの誠意が伝われば、相手方も裁判手続きを経てまで争うのは大変ですから、
条件の緩和などの譲歩をしてくれるケースも十分考えられます。

とにかく、こちらに非がある場合は、一刻も早い謝罪が必要です。


(3) 反論したい場合

内容証明はあくまで一方的な主張ですから、当然双方の言い分に食い違いはあるはずです。
どうしても反論したい場合、この部分ははっきりさせないといけないといった場合などは
相手方の内容証明に返事を出すのも1つの方法です。

返事は、手紙で出してもいいですし、対面や電話での話し合いを求めるのもいいでしょう。
手紙で反論する場合、目には目をということで、内容証明で返事を出す方も多いようですが、
別に内容証明で返事をしなければいけないというわけではありません。

ただ、事実内容やこちらの主張をきっちり証明したい場合などは、
やはり内容証明で返事を出すほうがよいかと思われます。
その場合、こちらの内容証明は相手の証拠にもなりますので、記述には十分ご注意ください。
あくまでご自身の主張を簡潔にまとめ、不利なことは書かないほうが無難でしょう。


(4) あえて放置するのも手?

内容証明が来たからといって、必ず返事を出さなければいけないわけではありません。
あえてなんのレスポンスも返さず、放置するのも1つの作戦でしょう。

内容証明は、主に相手に圧力をかける目的で出されますが、
同時に相手の出方を探るという目的もあわせもっています。

ですから、あえて放置することによってこちらの手の内を隠すことになり、
その間にこちらは相手に知られず対策をとることも可能です。
相手も手の込んだ内容証明まで出してくるわけですから、こちらのなんらかの反応を
予測してるはずであり、それが何もなければ不気味に感じるかもしれません。

ただし、内容証明に「期限内に〜がない場合は、法的手段も〜」などと書かれていた場合、
放置していると本当に訴訟などの法的手段に訴えてくることも考えられます。
こちらに非がある場合などは、よくご検討の上でご対応ください。


8 当事務所へのご依頼・ご相談



当事務所でも、内容証明郵便の作成代行や作成アドバイスを承っております。
「書きたいけれど時間がない」「間違いがありそうで不安だ」といった方、
お電話やメールでのお問合せは無料ですので、まずはお気軽にご連絡ください!


サービス内容・料金(税込)

フルサポートコース 22,000円〜33,000円程度
 ・文章の起案から作成、発送手続まで当事務所にて承ります。
 ・お客様との綿密な打合せの後、法令・判例等の綿密な調査の上で
  お客様の事例に最も適した文案をまとめさせていただきます。

※上記の料金には、ご相談料や細かな雑費(通信費・封書代等)も含まれています。
  面会でのご相談(通常1件5,000円)も何度いただいても無料ですので、納得いくまでご相談ください。

※郵便局に支払う料金(通常1,279円)はお客様のご負担となります。

※深い調査や多くの日数を要する案件の場合、出張が必要な場合等は
  別途料金をご請求する場合がございますが、その際は必ず事前にお見積り申し上げます。

※料金は、直接現金でお支払いいただくか、当事務所の口座への振込みにてお支払いください。


当事務所にご依頼いただくメリット

☆行政書士名&職印つき!
 具体的には、「本書作成代理人 行政書士 鈴木悠 職印」という記述が入ります。
 専門家である行政書士の記名といかめしい職印がつくことによって、
 ご自身の署名のみで送られるよりも相手方への心理的プレッシャーが高まります。

☆編集スキルを活かして
 専門家にご依頼いただく以上、法律的なアドバイスを差し上げるのは当然ですが、
 私は前職で雑誌・書籍の編集業をしておりましたので、
 文章の流れや言葉の選別、レイアウトなど、編集的な切り口からも
 最大限の効果をあげられる書面に仕上げさせていただきます。

☆アフターフォローも無料!
 料金にはご相談料も含まれていると申し上げましたが、
 内容証明送付後にも何かと相談したいことがある方もいらっしゃるかと思います。
 当事務所ではその後のご相談も原則無料で承っておりますので、お気軽にご相談ください。


連絡先

●お知らせ
 誠に恐れ入りますが、現在、内容証明に関する受付を停止しております。
 再開する際はあらためてトップページでご案内いたします。


●お電話でのお問合せ
 049−277−3990
  ・留守番電話の場合、お名前とご都合のよろしい日時を
   録音していただければ、こちらから折り返しご連絡させていただきます。

●メールでのお問合せ
 こちらをクリック
  ・お名前・ご住所・お電話番号・お問合せ内容を明記の上、上記アドレスまでお送りください。
  ・できるだけ迅速に返信させていただきます(遅くとも24時間以内)。

●所在地
 〒350-0042
  埼玉県川越市中原2−19−1
  川越パークファミリア 803号室

●営業時間
 月〜土曜日:10:00〜18:30 日曜日・祝日:休
  ・休日・時間外でもメールでのご連絡はお受けしております。
  ・ご予約いただければ、休日・時間外も対応させていただきます。

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